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セミナー

◆◆第1講 中国の航空事情について考える(その9)
「欧州の空港閉鎖騒動は中国にとって対岸の火事か?」
4月15日に起こったアイスランドの火山噴火で欧州のほぼ全域で飛行禁止措置が取られた。その間、ロンドン・ヒースローやパリのドゴール、フランクフルトの欧州3大空港の機能も停止、もっともひどかった日には欧州全体で5分の4の便が運休するという過去に例のない大混乱に陥った。

この騒動では、日本ではもっぱら「成田などで足止めされている外国人」について、とか、「欧州でタクシーを数日チャーターして長距離移動したビジネスマン」の話しなどが報道されていた。実際に動きが取れなくなり、欧州大陸から帰国できなくなった英国人は一時20万人近くに増え、最後は軍艦が出動して救出に当たったほどの大きなトラブルとなった。

中国でも、自然災害の発生で飛行機の運航に支障が出ることがままある。近年では、飛行機そのものの性能と空港の設備が向上し、少々の悪天候でも割と遅れずに飛ぶようになった。そんななか、春先に起こる「黄砂の襲来」は飛行機の大敵だ。例年3月の中旬から4月にかけての時期、黄砂が内蒙古方面から北京方向に飛んでくるが、これがひとたびやってくると、空は一面砂で覆われ、道を歩くのでさえも困難になる。
今回の噴火騒動でも「火山灰がエンジンに入ると、停止する恐れがある」という理由で飛行禁止措置がとられたのだが、黄砂の襲来でも同じく「エンジンが砂を巻き込むと安全運航に支障が出る」として、長時間にわたる空港閉鎖の憂き目に遭う。

欧州では、今回の騒ぎで鉄道やフェリー会社の業績が急激に上がったという。中国で火山噴火が起こる可能性は低いと思われるが、黄砂の襲来など思わぬ自然災害に備えて、よく出かける出張先への「陸路での足の確保」はあらかじめ検討しておいた方が良いかもしれない。

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伊藤雅雄

◆◆伊藤雅雄
大学で中国語と比較文化論などを研究。
卒業後、旅行会社に就職。以後20年あまり、方面を問わず「日本人の行きそうな外国の街」のほとんどを添乗や視察、営業などの目的で渡航。

とくに中国への造詣が深く、25年間で全土の省・自治区をほぼすべて訪問した。
業務の合間に地元の人々からさまざまな情報を仕入れ、「人々の暮らしや習慣」に興味を持つようになり、やがてエッセイやコラム執筆を始める。

2007年夏よりイギリスに在住。近著に「中国人ご一行様からクレームです(三修社刊)」。
雑誌への寄稿なども多数。