【印刷用レイアウト】

セミナー

◆◆中国の貿易とアメリカの雇用2

昨晩は九段高校の陸上競技部の同窓会があった。今日はまた、たまたま、高校のクラス会だが、こっちの方は海野会があるので出られない。さて、今日は昨日に引き続き、元高の問題を扱う。今日も6時から経営会議があるので、早めに終わらなければならない。今日はセミナーと海野会がある。明日からは 大連、西安、上海だ。もう中国も寒くないだろう。さて始めよう。 

 

ドルがより弱くなってもアメリカ人が中国の商品を買い続けるもう一つの理由が ある。より強い人民元は中国の製造業者の購買力を増加させ、 彼等の製造のための原料、資本設備、コンポーネントの輸入により依存することになる。今や投入コストがよりやすくなったので、中国の製造業者は海外のマー ケットシェアを維持するために彼等の輸出価格をもっと下げることが出来る。

通貨と貿易赤字との関係は政策立案者が思っている以上に弱い。 貿易赤字とアメリカの雇用減少との関係はやはり弱い。Charles Schmer上院議員と米国連邦議会の幾人かの議員は2001年から2008年までのアメリカの240万人の雇用減少は二国間の貿易赤字せいだとしてい る。この数字は組合の支援を受けた経済政策機関(EPI)から出ている。このEPIの方法論は多くの経済学者によって、まともにとられていない。と言うの はそれは雇用が輸出品の価値により増加し、雇用が輸入品の価値により減少した近似値を示しているとしていて、あたかもこの数字の間の直線的な相関関係があるかのように考えているからである。そして、輸入がアメリカの雇用を創ったりサポートしたりしないと主張している。

しかし、アメリカの製造業者はーー原材料、 コンポーネント、資本設備を購入しているが、ーーアメリカ経済分析局によると、年間で、アメリカの輸入の価値の半分以上を占めている。これらの輸入品は 広範囲な産業に於いて、アメリカの雇用を支援している。

さらに、調査を拡大した結果によれば、中国からの輸入品の価値のごく一部だけ が中国の労務費、原材料費、間接費である。これらの輸入品の価値の殆どはアメリカを含めたその他の国々が作ったコンポーネントと原材料からなっている。

Stanford 大学の経済学者Laurence Lauはその論文の中で、中国の付加価値は中国からアメリカへの輸入品の価値の約37%であることがわかったとしている。2008年には違う方法を使っ て、アメリカ国際貿易委員会の経済学者Robert Koopmanは経済学者Zhi WangとShangjin Weiとともに、50%により近い数字を出した。言い方を変えれば、中国の輸入品の価値についてどんなに絞り出しても、その価値は半分から3分の2ぐらい は中国製ですらない。だから、この価値はアメリカを含めた他の諸国の労働者と資本を反映している。中国の価値を100%から200%も過大評価しているので、公式のアメリカの輸入統計は雇用減少との関わりを示しているとは言えない。

組合に管理された連邦議会での貿易の議論ではアメリカの労働者の多くの数の雇用は中国からの輸入品に依存していると言うことが滅多に言われたことはない。多国籍企業の製造とサプライチェーンの拡散はより高い付加 価値を持ったアメリカの製造、設計、R&D活動と中国のより低い価値の製造、組み立て作業を結合したものである。

カリフォルニア 大学のGreg Linden、Kenneth L. Kraemer、Jason Dedrickの2007年の広く引用されている研究によれば、アップルのiPodの製造コストは150ドルだ。しかし、そのコストのわずか4ドルだけが中国での付加価値分だ。

価値の殆どの部分はアメリカを含めた他の諸国で作られたコンポーネントから来ている。しかし、これらの iPod が中国から輸入される時、それは中国で、パチンと (snap) 組み立てているだけなのだが、150ドル全部が中国からの輸入品として計算され、貿易赤字に加算され、 EPIの雇用減少数字をインフレさせている。

実際に、これらの輸入されたiPodはバリューチェーンを通じて、数千のアメリカの雇用を支援している。ーー設計、デザイン、財務、製造、マーケティング、配送、小売などである。中国からの輸入品に対しての25%の課税はIpodの価値の殆どを 造り出した中国でない企業と労働者へのペナルティになってしまう。

iPodの販売がどれほど少なくなるのか考えてみてくれ。iPodの製造、配送、販売がどれほど雇用を減少させるのか。アップルの利益と研究開発費をどれ ほど落とすことになるのか。音楽とビデオのダウンロード、車のアクセサリー、ジョッギングのアクセサリー、ドッキングステーションの市場をどれほど小さくするのか。こうした産業の雇用をどれほど減少させるのか。

他の数百もの機器と道具、コンピューター、ブルーレイなどの他の製品がアメリカ で設計されて、中国で組み立てられ、コンポーネントはアメリカとか他のところで作られ、こうした商品の量を計算してみると良い。これらが連邦議会と大統領 が中国からの輸入品に貿易制裁を課すことによって苦しめられる経済費用だ。 

  

  

以上だが、なるほど。このよう にみてくると、必ずしも、 元高にはならないかもしれないな。こうした背景は我々は理解しておく必要がある。貿易に於ける基本的な課題だ。昨日まで、グーグルの問題を取り上げたよう に、アメリカのこうした課題への取り組みは面白い。問題が増幅しそして収斂していく。そこには多くの人の議論がある。だから新聞もそうした議論が中心になるのだろう。

欧米では日本のように、新聞は人々に情報を提供する媒体以上に、考えを提供する媒体だ。人はそこで考える。日本人は文化的に「あうん」があるからあまり考 えない。私はそれが問題だと言っている。この元高の件は今週、胡錦濤主席がアメリカを訪問していたので、また状況が変化するかもしれないので、また、近々 取り上げよう。ただこうしてみてくると、アメリカがニュースで公に行っているようにすることはなさそうだ。組合の意見を通した、偏った保護主義になってし まいそうだ。

明日からは、今までの方法をやり方を変更したい。まずはテーマだが、主要なインターネットの新聞から毎日持ってきたい。そのテーマの翻訳とそれに引き続いてそのもとの英文を掲載し、最後にコメントを書く方法にしたい。今後、BARのマイケル・フィネガンのような論文が出て来た時はまた特別だが、普通はこのようにしていきたい。テーマの選定は出来るだけホットなものを取り上げて行く。

明日のテーマはアフガニスタンのカルザイだ。アメリカ政府はカイザルを信用していない。そこら辺の経緯を見てみよう。guardian.co,ukからで 2010年4月7日の記事だ。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/apr/07/karzai-drug-rumour-fraud


◆◆スイングバイ企業紹介ページはこちらから

http://www.chinabusiness-support.com/archives/363
コラム一覧へ戻る

海野 恵一

スウィングバイ2020株式会社 代表取締役社長
海野 恵一
スウィングバイ2020株式会社 代表取締役社長。
1948年1月14日生まれ。東京大学経済学部卒業。
1972年、アメリカの監査法人アーサー・アンダーセン(1989年からアンダーセン・コンサルティング、2001年から現在のアクセンチュア)に入社。
名古屋事務所所長、経営戦略サービスグループリーダー、石油業北アジアリーダー、石油業アジアパシフィックリーダー、素材・エネルギー本部統括パートナーなどを歴任し、2001年に代表取締役に就任。
2003年の退任後は顧問に就任(2004年に退任)。2004年にスウィングバイ2020株式会社を設立、代表取締役社長に就任。
2008年現在、新速佰管理咨詢(大連)有限公司董事長、新速佰管理咨詢(上海)有限公司董事長、大連高新技術産業園区招商局高級招商顧問、大連市対外科学技術交流中心名誉顧問、無錫軟件外包発展顧問、
対日軟件出口企業連合会顧問、環境を考える経済人の会21事務局員を務める。