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セミナー

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北山:兼元社長の人生に、ある中国人が大きな影響を与えたとお聞きしましたがどのような方なのでしょうか?
兼元氏:私が東京に出てきて何もかもが上手くいかず、ホームレス生活を続けていた時、ある中国人女性と出会いました。彼女は中国の奥地の生涯年収が2万円という非常に貧しい農村部の出身で、非常に危険な工事現場で働かされていたそうです。日本に行って勉強したいと思って東京に来たものの、お金がないので私と同じくホームレス生活をしながらも大学に通っていました。その女性に、「少し失敗したり、虐められたぐらいでくよくよするな!」とものすごく怒られました。彼女のバイタリティを感じると同時に自分の悩みのちっぽけさに気がつかされ、ここから這い上がろうと決心しました。
北山:<株式会社オウケイウェイヴ>としての中国との最初の接点を教えて下さい。
兼元氏:ビジネスとして最初に中国に興味を持ったのは既に中国に進出していた当社株主の「中国は面白いよ」という一言でした。その後検討を重ね、今から3年前の2007年に初の中国進出を果たしました。設立の為に資料を準備していた最中に法律が変更となり一から資料を作り直さなければならなくなったこともありました。設立後も資金や人材を投入しましたが、上手く行きませんでした。
そんな折、中国に進出しているシステム開発会社の経営者とお話しする機会がありました。その方達は中国が大好きで、中国人とも結婚していらっしゃいました。その方達にどうやったら中国ビジネスで儲けられるかを訪ねると、「兼元さん、それは間違っているよ。兼元さんの今のスタンスでは中国人が協力してくれないよ。もし、日本で一儲けしてやろうという匂いがプンプンする外国人が海外から来たら、協力してあげようとは思わないでしょう?」と言われてしまいました。私はハッと気付かされました。お金儲けをしたいという気持ちだけで中国に進出していて、しかも心のどこかでは「中国人は日本人を騙すのではないか」と疑心暗鬼になっていたのです。こんな人が中国で成功するはずはありません。それに気がついて色々試行錯誤し、現在は中国事業に関しては比較的順調に推移しています。
最近では、中国ネット企業大手の新浪(SINA)を始め、様々な企業様とも業務提携をする事ができました。私は契約や調印の部分は行ないますが、あとは中国事業担当の社員やパートナー企業に任せています。
北山:中国人や中国企業を信頼して痛い目に会った日本企業もあります。中国人や中国企業と良いパートナー関係を構築するにはどのような事が大切でしょうか?
兼元氏:日本企業のそのような失敗は、任せる際の信頼の仕方に問題があるのだと思います。CIAの言葉で、<Hope for the best , Plan for the worst(最善を望んで、最悪に備えよ)>という言葉があります。日本企業の場合は“Hope for the best”のみで、最善を望んでいるだけです。<最善を望むには誰を探せば良いのか?>という行動指針だけで動いている日本企業や経営者が多いように思います。最悪に備える事なく最善を望んでパートナーを探しているのですから、失敗が起こる可能性は高いです。
日本国内のビジネスでも同じ事ですが、特に海外ビジネスにおいて最善だけが起こるという事はあり得ません。ビジネスベースでは手放しに誰かに絶大なる信頼を寄せるという事はほとんどありません。何らかの契約も必要になるでしょう。一番良いパートナーは<この人となら最善を望む事ができるし、最悪に備える事もできる>という基準で探すべきではないでしょうか。中国ビジネスでは、このような視点で信頼関係を構築出来ている人に任せたり組んだりする事が大切だと思います。
また、日本人はダブルスタンダードという考え方が苦手だと感じます。ダブルスタンダードという考え方はヨーロッパでは当たり前の考え方です。例えば国と国が交渉する場合、片方の国に良い顔をしつつもう片方の国にも良い顔をしなければなりません。双方への話に矛盾点が存在する事もありますが、自身の周囲を取り巻く環境のバランスを保つ為にダブルスタンダードは必要な考え方です。これは様々な国が隣り合うヨーロッパでは当然の考え方ですし、中国や韓国でも当然の考え方です。ところが日本はそうはいかないようです。
北山:新浪(SINA)とはどのようにして提携まで話を進めたのでしょうか?
兼元氏:先程お話しした既に中国に進出している中国大好きのシステム開発会社の方々が私達の中国でQ&Aを広めたいという想いに共感して頂き、新浪(SINA)との接点を作ってくれました。中国ビジネスに関して当社は“外から来た人”です。中に入る為には、既に中にいるしっかりした人に紹介してもらうのが一番ではないでしょうか。
また、新浪(SINA)も中国人の日本への関心の高まりを背景に、日本に関するコンテンツを持ちたいと考えていました。私達も中国人に対して大きな窓口を持っている新浪(SINA)のようなパートナーを捜していましたので、お互いに求めるものが一致していました。
お互いのニーズの一致はタイミングが大きく左右すると思います。今から2、3年前であれば、双方それほどニーズがなく、提携には至らなかったと思います。中国進出についても2007年の一回目は一部の株主に早すぎると言われましたが、今回は評価を頂いています。
北山:日本企業が中国の企業と提携する際のポイントは何でしょうか?
兼元氏:一つ確かなのは、中国の方が日本よりも資本主義だという事です。中国企業や中国人はメリットとデメリットがハッキリすれば動きます。それをハッキリと相手に伝える事が提携する際の一番のポイントではないでしょうか。  
信頼関係を構築する上で日本人に必要なのは<ハッキリ主張する事>です。中国人からすると韓国人は自分の主張をしっかりするので少々やりづらいが、思っている事はハッキリ言ってくれるので最後には信頼ができると思われています。しかし、日本人は良い顔をしながら最後まで本音を言わず、いざやるとなったら「そういうつもりではなかった。そのぐらい察して欲しい」と言ってくるので信頼関係を構築するのが難しいようです。
実際の提携交渉時はメリットとデメリットをハッキリと伝えられる人材を交渉窓口に立てるか、自身で行なうのであればそのような意図を持って動く事が大事です。中国の場合、曖昧に「できれば0という条件でお願いしたいのですが」という姿勢は通用しません。「御社のメリットとデメリットは○○です。弊社としては△△という条件が得られなければ御社とは提携するつもりはありません。」とハッキリ伝える事がお互い良いパートナーでいられるコツです。
中国人からすると<日本人は最初笑顔で良い顔をして頷くが、なかなかハッキリ自分の考えを言わず、いざやるとなったら、そういうつもりではないと言い出すのでよくわからない>と思われています。それに比べ、韓国人は言いたい事をハッキリと言いますので、最初はぶつかりますが、最終的には上手く行くのです。
中国進出を検討する際に「中国は特殊」という一言で解決するのは間違っています。日本だって特殊ですし、どこの国でも特殊なのです。中国進出が上手く行かずに、その他の国への進出が上手く行くという事はありません。海外戦略としては一緒です。言葉なんて下手でも良いのです。自分の主張を相手にぶつける事が重要です。今の日本は、明治時代や坂本龍馬の時代に海外と折衝したあの時の力を取り戻すべきです。
北山:貴社<OKWave China>では中国現地から日本に対するQ&Aが多数寄せられています。内容を拝見させて頂きましたが、全て日本語訳して一人でも多くの日本人に見て頂きたい程面白い質疑応答が交わされていますね。中国からはどのような質問が多いのでしょうか?
兼元氏:ありがとうございます。全体的な比率としては<観光や買い物>に関する質問が一番多いです。「銀座で銀聯カードが使える百貨店は?」「成田から富士山に行くには?」という質問があります。他にも「日本人の名前の後に付ける“君”はどういう意味?」「日本の歴史物語によく見られる○○衛門という名前の末尾に付く“衛門”にはどういう意味があるのか?」というような日本の文化や習慣に対する質問もあります。
一般的なサイトに掲載されている情報は、奇麗にまとまり過ぎていて本当に知りたい事が書かれていない事が多いです。例えば中国のあるサイトでは「銀座でも安く買い物が出来る場所が無いか?」という問いかけには、<銀座は巴里のシャンゼリゼ通りに相当しますので、買い物の際には上品に>と教科書的な内容が書いてあります。OKWaveであれば、<銀座のこういう場所にツアーで連れて行かれるが、こっちの方が安い><近くにハナマサというお店があり、日本のオカキが安いお店がある>と本当に知りたい情報が掲載されています。質問をした方からサイトに対してお礼が来る事もしばしばあります。
北山:質問は全て掲載しているのでしょうか?
兼元氏:<OKWave China>をよく見て頂いている方は「もっと突っ込んだ質問があっても良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。<OKWave China>は提携している中国企業に厳しくQ&Aの検閲を受けていて、中国側からするとNGなものは全て削除されています。良い意味でも悪い意味でも、私達は中国には中国の事情があるのだから中国の方針に従おうという方針です。例えば「中国はコピー天国だから」と言う人がいますが、その現状のなかでどうするのかを考えるのが建設的な考え方だと思います。逆に中国から日本を見てもおかしい事も沢山あるはずです。
実はかなり多くのQ&Aが削除されています。以前、中国からの検閲を受けていなかった時は急にサイトが見えなくなったりしました。(笑)しかし、現在ではそういう事はありませんので、安心して利用頂く事ができます。中国側がどのような内容を掲載して欲しくないのかというのは、私達日本側からはなかなか判断しにくい部分がありますので、中国企業にチェックしてもらえるのは私達にとっては良かったと思っています。

北山:OKWaveのQ&Aは日本発で世界初のモデルですが、Q&Aの仕組みは<助け合いの精神>に支えられています。この精神は世界各国で同様に通用するものなのでしょうか?
兼元氏:「ありがとう」という言葉は、人から必要とされる事を感じられる喜びの世界共通言語ですので、世界で通用すると思います。中国検索サービス最大手の百度も、<知道>というQ&Aサイトを展開していますし、韓国では<NAVER>というQ&Aサイトがあり、どちらも機能しています。
ただ、中国の<知道>では回答者を雇って回答しているようですので、Q&A自体の定着はまだまだのようです。インターネットに寄せられた他人の質問に無償で回答してあげる人の比率は日本程高くはないと思われます。中国に比べ韓国やタイではQ&Aに回答する人の比率は比較的高いようです。
私達は御陰様で日本のQ&AサービスではNO,1です。Q&Aに回答する人の比率が高い日本の良さを活かして、海外から日本に来る観光客や日本から海外に行く観光客向けのQ&Aを充実させて行きたいと考えています。
ビジネスとしては、日本への旅行や日本での買い物に興味のある中国人に向けてピンポイントで広告を掲載し商品やサービスを訴求する事が可能です。例えば間もなく中国の旧正月(2月14日)で休暇にはいるため、大勢の方が日本に旅行に来ます。そのため日本の旅行に対するQ&Aが急増するとともに広告掲載のニーズも高まっています。また、言語の障壁をクリアーすべく、翻訳の仕組みを入れようと試行錯誤中です。
北山:今後、<OKWave China>をどう認知度を高め、どのようにユーザーを伸ばして行く計画でしょうか?
兼元氏:<OKWave China>は日中の一般の方の「困っていること」が相談される場ですので、そのQ&Aに合った企業のプロモーションの場としても活用いただくことで、結果的にユーザーの方々の利便性を高めることで、再利用や周りへの波及を期待しています。
北山:<2010年、10言語、100国語>という方針を打ち出されていますが、どのような想いがありますか?
兼元氏:<2010年宇宙の旅>という映画があります。地球から木星に向かう宇宙船の中で乗組員のアメリカ人とロシア人が地球で両国が戦争になりそうになると宇宙船の中に境界線を引くシーンが出てきます。宇宙から見ると地球という小さな一つの星のなかで線引きして争っている風景は、宇宙船の中で領土を線引きするぐらいに意味の無い事だということが伝わってきます。
私は韓国の血が入っていた為、昔は一部の心ない人達にキムチ食べたら石をぶつけられるような事がありました。国籍や人種という小さな事でもめるのは本当にくだらない事です。
また、国家や政府は私達個人個人の健康よりも国や経済状況を優先させます。これまで国の動きに個人個人の人生が翻弄されてきました。私達はそろそろ民間レベルで国籍や人種関係なく同じ地球人として交流したり、世界中の知識資産を積み重ねていった上で得る事ができる<人類の知恵>を蓄積していく事が必要ではないでしょうか。当社は最も簡単で短い交流方法である<Q&A>を世界に広める事で世界平和の一助となりたいと考えています。
北山:兼元社長は中国語も話せますか?
兼元氏:挨拶程度ですが、現在、毎週土曜日に社内で中国語講座を設け、頑張って勉強しています。ただ、なかなか発音が難しく「発音が下手」と言われて奮起しています。将来は英語、日本語、中国語、韓国語の四カ国語を話せるようになりたいですね。
北山:自らの言葉の勉強も熱心なのですね。

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株式会社オウケイウェイヴ 
代表取締役社長 兼元 謙任氏
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