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セミナー

―北山:加藤様はどのような学生時代を送られたのでしょうか?
加藤氏:私は岐阜県の多治見市の出身ですが、大学は青山学院大学を卒業しました。私の学生時代はアルバイト一色でした。学生時代は青山や麻布のレストランでアルバイトをしていました。グローバルダイニング(以下GD)の長谷川社長にも可愛がってもらっていました。
―北山:今まではどのようなお仕事をされていらっしゃったのでしょうか?
加藤氏:青学を卒業して、最初に就職したのは広告業界でした。リクルートに就職して1年間程営業職を経験しました。
その頃、私の同年代の友達がGDのナンバー2になり、当時22、23歳で年収1千万円を稼いでいました。彼の存在は当時の私にとって大変刺激になりましたね。その友人からGDで一緒にやろうと誘われたりもしました。しかし、長谷川さんも高田馬場の小さな喫茶店から始めて成功したのを見ていたので、自分も喫茶店から始めて見ようと決心し、愛知県の瀬戸市という場所で喫茶店を始めました。2年目には岐阜県多治見にショットバーも出しました。多治見は東京で言うと山の手から電車で約30040分の“東久留米”あたりに相当する場所です。そこで青山や麻布の時と同じように、ジントニック一杯1500円という高級路線で勝負していました。当時はバブルの頃でもあり、お店の売上げはうなぎ上りでした。
しかし、バブルは長続きせず常連客が経営しているタイル工場、カーディーラーなどの会社が相次ぎ倒産し客足が激減。一杯で閉店まで粘るような学生ばかりになってしまい業績が悪化した為、お店を畳みました。
その後、友人の結婚式で青学時代の先輩に「今どんな仕事しているの?」と聞かれ、「新しい仕事を探している」と話をしたら、「では、うちにきたらどうか」という話になりました。良く聞くと彼は名古屋県豊田市に本社がある広告会社の東京支社長だったのです。そんな縁があり、再度広告業界に戻る事になりました。
その頃、丁度インターネットが世の中に出てきました。当時HP製作は大学や専門学校でもまだ教えていないような状況でしたが、私は英語で書かれたハーバードやイエールなど、アメリカの大学のHPを参考にHTML言語を研究したり、アメリカで行なわれるマクロメディア社主催のMAXという最新のFLASH技術を公開するコンベンションに毎年参加したりしては最先端の技術を勉強し、最先端の技術を駆使したHPを自力で製作していました。この頃の休みは年間で2日、起きてから寝るまで仕事をしているという年が何年か続きました。
この間に、名古屋ではいちばん大きな広告代理店であった名鉄エージェンシーに転職し、仕事の内容は制作担当者のレベルからWEBプロデューサー的な業務にシフトしていきました。
―北山:インターネットや広告業界の経験が長いのですね。中国とはどのような形で接点があったのでしょうか?
加藤氏:今から11年前ぐらいでしょうか。名鉄エージェンシーに転職する前後に、<上海IT企業視察ツアー>に参加しました。主催者は自分と同じ年の名古屋でオフショア開発を始めた中国人女性社長でした。実は当時そこまで中国に興味があったわけではなかったのですが、彼女のエネルギッシュさに惹かれ、一度中国に行ってみようと思ったのです。その三年後、再度同じツアーで上海に行ったのですが、街が変化するスピードの速さやインフラ整備のスケールの大きさに驚き「ここで仕事をしなければアホだ!」と直感しました。
ただ、当時私の勤めていた名鉄エージェンシーはビジネスでは中国と関連性がありませんでしたので、中国関連のNPOのメンバーになって上海工業団地の投資説明会の手伝い等を行い、独自に中国との接点を深めて行きました。また、この頃から頻繁に名古屋から中国に遊びに行くようになりました。実は、名古屋から新幹線で東京に頻繁に出張していたため、出張費の精算で使っていたクレジットカードのマイルや宿泊していたホテルのポイントがたくさんたまり、航空券とホテル代金がほとんどかからないようなことがたびたびあったのです。しかも、中国に行けば国内と違ってタクシー代も安く(一時間乗っても約150元(2000円))、本場の美味しい中華料理とその安さは、学生時代に中華料理屋でアルバイトしていた私にとっても刺激的でした。
そのうち新天地のレストランで働く1人の中国人と仲良くなりました。後日、彼がお店を辞めたと言うので理由を聞いてみると、原因は“私”だと言うのです。よく聞くと、店のオーナーから「日本人観光客が来たらなるべく高価な伊勢エビやアワビを食べさせボッタくるのがお前の仕事だ」と言われていたようなのですが、オーナーの要求と仲良くなった私に対してボッタくることへの罪悪感との間で葛藤があったそうです。その後、彼に上海でお店を持たせる為に、日本から出資をしてくれそうな人達を募り、視察ツアーなどを組んだりもしました。結局出資は思うようには集まりませんでしたが。
―北山:起業の経緯を教えて下さい。
加藤氏:その後、三菱商事100%出資の会社に転職しインターネット事業部を立ち上げました。そこでは車の位置情報を管理する業務システムも開発・販売していましたが、なかなか売れずに苦戦が続いていました。そこで、すかさず会社にアジアで売りましょうと提案し、マーケティング調査を行ない、準備を整えました。しかし、いざ開始しようとなった時、会社の業績が悪化した為、計画が実行できませんでした。
ただ、諦めるに諦めきれない。それであれば自分でやろうと考えたのが起業のきっかけです。退社とともにその会社のインターネット事業部を買いとり、当時アシスタントだった派遣社員にも新会社へ来てもらい、アクセス・イノベーションとしてスタート致しました。その後中国人の社員も採用して、中国進出支援サービスも始めました。
―北山:御社のサービス内容を教えて下さい。
加藤氏:弊社が得意とするのは、WEBを中心とした中国進出のトータルサポートです。弊社では、会社のステージにあわせた中国向けECワンストップサービスを提供しています。これを利用すれば約2週間という短期間で簡単に日本語と中国語のショッピングサイトを構築する事が出来、中国マーケットへの販売をスタート出来ます。他にも運用プランの策定から、決済サービス、中国国内でのサーバ運用、タオバオ出店代行、中国語での問い合わせ対応、中国語でのリスティング広告やマーケティングを提供しています。
さらに中国の弁護士、会計士、さまざまな分野の専門家との業務提携も充実しており、法律、税務、各種許認可の取得、人事、物流、契約や現地でのトラブルシューティングなど、中国に進出した企業が抱えるあらゆる悩みにこたえられる体制を整えています。
弊社が提供しているのは単にHPやシステムの開発だけではなく、「中国ビジネスやネット戦略何をどうするのか?」「いま目の前にある課題をどう解決していくのか?」という事を一緒に考えて実行して行く経営企画室のアウトソースなのです。
―北山:タオバオに出店してもなかなか売れずに悩んでいる人も多いと聞きます。先程頂いた名刺には『タオバオ成功請負人』と大きく書かれていらっしゃいますね。




加藤氏:そうですね(笑)出店する事や進出する事はあくまで手段の一つですので、出店の代行ではなく成功の代行を目指しています。
例えば、成功する為には既に成功している人に学ぶのが近道という事で、弊社独自でタオバオ売上げランキング上位20社にアンケート調査を行ないました。「どんな商品が一番売れていますか?」「広告は何を使っていますか?」「広告のひと月の予算は?」等等を聞き、結果をまとめています。またタオバオで最高ランクの<レモン緑茶>というお店には私が直接訪問し、成功の秘訣を伺いました。
―北山:実際に調査するとは凄いですね。成功の秘訣なんて教えてくれない会社も多かったのではないですか?
加藤氏:確かに教えて頂けないところも多かったです。また、普通なかなか聞きにくくて聞けないものです。私達はあくまでタオバオでの成功を支援する側で、日本でタオバオに出店を考えている人に御社成功事例を紹介したいという立場なのでヒアリングできたのだと思います。
実際には、毎日チャットで話しかけるなど地道な作業が続きましたが。(汗)
―北山:加藤様はマーケティングの専門家として聞くポイントが的確であったり、相手の話を引き出す問い方の経験が多く、良いヒアリングができたのではないかと思います。具体的にヒアリングを通じてどのような事が判明したのでしょうか?
加藤氏:当たり前の事ですが、店舗運営は経営と同じなので、目標に合わせた戦略が必要となります。軌道に乗るまで一年半かかったと書かれていた店舗もありました。また、タオバオには13万もの店舗があります。現在中国は就職難という事もあり、新卒の2割が卒業後タオバオショップオーナーになると言われていますし、副業として始める人も急激に増えています。事業戦略に合わせた計画の実行が求められます。楽天の三木谷さんも「富士山に登る人は富士山の山頂に行くという目的を達成するために準備をし、きちんと準備した計画を実行するのでつらい思いをしてもその目的を達成することができますが、普段どこに行くか決めていない人が、気がついたら富士山の山頂にいる事はありえない」といっていましたが、その通りだと思っています。
―北山:売れている店舗は具体的にはどのような取り組みをしているのでしょうか?
加藤氏:例えば、タオバオで売れている日本の商品の一つにおなじみの<粉ミルク>があります。しかし同じ粉ミルク販売店のなかでも売上げに差があります。売上げの高い店舗では、日本で購入した領収書の写真を添付するなどの工夫がされていました。成功の背景には必ず原因があるのです。
このヒアリング結果をもとにしたタオバオ成功の秘訣は、弊社主催のセミナーでもお伝えしていますし、私が取材させて頂いたタオバオ最高ランクの<檸檬緑茶>を実際に見学に行く<タオバオ見学ツアー>も企画しています。
―北山:御社セミナーは先日新聞でも取り上げられていましたね。ツアーは具体的にどのような内容なのでしょうか?
加藤氏:そのツアーでは、成功企業の見学だけではなく、現地での銀行口座やタオバオのアカウントを開設し、帰国後すぐにショップをオープンできるという内容になっています。
また、一緒に参加する方達との交流や情報交換も成功には欠かせません。ツアー参加者数は10人015人程度に設定しています。私は今まで中国や韓国などへの様々な視察ツアーを企画してきましたが、このぐらいの人数がお互いに話ができる丁度良い人数なのです。移動中に次に訪問する会社についてや、お互いの会社についての話などできますし、全員が一つのテーブルに座って会話する事ができます。
タオバオ出店を考えている方の中には残念ながら、出店すれば自動的に楽に売れると考えている方もいらっしゃいます。実際に成功している企業を見ると、「なるほど、ここまでやっているから成功しているのか」というのがわかり、店舗運営について気合いが入ります。
―北山:新聞記事で中国ECは「双方向」が鍵とおっしゃっていましたが、具体的にどのような事なのでしょうか?
加藤氏:日本と中国では購買時の習慣や価値観が異なり、中国では双方向のコミュニケーションが購買時のポイントになります。日本でECマーケティングというと、リスティングやメルマガに代表される確率的論的なマーケティングに重点が置かれ、問い合わせを少なくする為WEB上の説明を充実させ、できるだけ電話等のコミュニケーションは減らそうとする傾向があります。しかし、中国ではWEBで物を買う時、日本よりもコミュニケーションを重視する傾向があります。WEBの説明書きを熟読して納得して購入する人は少数で、多くはWEB上の説明はあまり読まず、まずはチャットや電話で問い合わせ、自分が納得した上ではじめて購入ボタンを押します。
実際に、中国で売上げを伸ばしている店舗は皆このコミュニケーション手法を取り入れています。例えばユニクロの中国向けオンラインショップでは、現在チャットで話が出来るオンラインの担当者が表示されます。このような実店舗に近い接客が功を奏するのが中国のEC市場なのです。チャットオペレーターの中には、一度に30人とか、最大時で約100人のお客様とチャットで接客する強者もいます。日本ではまず考えられない現象ですよね。
―北山:中国の実店舗で買い物をする時には、値段交渉を行ないますよね。最初に提示された金額では購入せず、まずは半値まで値切り、その後何度か値切って、最後には買わずに帰ると見せかけて呼び止められたら購入するとか。(笑)中国向けにECを始めるのであれば、中国の購買心理を理解する必要がありそうですね。
加藤氏:そうですね。日本のネット通販で成功していても中国でうまく行くとは限らない理由がここにあります。
ECで商品が最も売れる時間帯も日本と中国では異なります。日本のネット通販のゴールデンタイムは深夜ですが、中国はなんと朝10時012時、午後1時02時です。会社で見て、沢山買うと安くなるので皆でワイワイと購入する事も多いです。日本のやり方をそのまま持ち込まず、中国人に買ってもらうやり方を如何に自分たちのものにできるかがポイントになります。
―北山:会社のビジョンをお聞かせ下さい。
加藤氏:現在、製造業始め多くの日本企業は海外進出をしなければ縮小か衰退を待つのみという苦しい状況に置かれています。日本企業は長く海外進出を先送りしてきた為、産業や社会の変化に対して柔軟に対応しなければ生き残れないとう事を忘れかけている企業も多いのではないでしょうか。また分かっていたとしてもなかなか一歩が踏み出せない企業も多いです。弊社は日本の財産である産業や企業が滅びずに生まれ変わる為のお手伝いをしたいと思っています。
また、弊社独自の商品・サービスの開発を行い、日本と中国で販売していくことも進めています。
弊社ではこのように独自で行なっている中国ビジネスと、日本企業のための中国進出支援との両輪を上手く回して行きたいと思っています。
―北山:加藤様の出没スポットを教えて下さい。
加藤氏:週に一度は東京で、月に一度は中国に行っています。上海では必ず行く四川料理屋があります。また、瑞金賓館の<FACE>というバーに良く行きます。そこにはビリヤードがあって、日本代表(?)としてプレイしています。また、虹梅路の新大谷というお店では、<上海猛虎会>が結成されており、阪神ファンが集います。どのお店にしてもお店の人と仲良くなったり、常連さんと仲良くなるのが好きです。
東京では、六本木や恵比寿の立ち飲みのバーやバールに良く行きます。恵比寿には3年程住んでいましたし。東京では、何気なくたまたま隣り合った人と気さくな会話があり、それが縁で何か面白い事に発展する事もあります。そういう東京スタイルが凄く好きです。
名古屋の自宅に戻った際には、子供達が見ているテレビを消して、子供達と話をします。
―北山:お子さんとの会話や笑顔が加藤様のアグレッシブなパワーの源になっているのですね。

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