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セミナー

―北山:陳さんは中国のご出身ですか?
陳氏:日本生まれの華僑二世です。父は中国本土から来日。母は日本生まれですが両親は本土からです。神戸の華僑中学校を卒業してからアメリカに留学し高校と大学を卒業しました。
―北山:経済産業省後援の起業家支援団体「ドリームゲート」で2008年度の海外ビジネス部門相談件数第1位を獲得されましたね。おめでとうございます。実際にはどのような問い合わせが多いのですか?
陳氏:ありがとうございます。「ドリームゲート」のコンセプトが起業家支援なので、海外ビジネスの起業相談が最も多いです。次に多いのは中小企業、中堅企業の担当者や経営者の方からの相談です。例えば、会社の海外事業部でこういう問題に直面しているので具体的な解決策を教えて欲しいという内容です。たまに、海外ビジネスを利用した怪しい内容の相談もありますが、その場合は丁重にお断りしています。(笑)
―北山:ドリームゲートなり、HPなり、どのようなキーワードで御社に問い合わせが来る事が多いのですか?
陳氏:“中国貿易 トラブル”や“中国 契約書 トラブル”というような言葉で検索される方が多いです。

―北山:トラブルという言葉が必ず入るのですね。

陳氏:そうですね。緊急の事態や、かなり困っている状態で連絡を頂く事が多いです。他には“送金”や“撤退”というキーワードで問い合わせを頂く事もあります。

―北山:中国ビジネスと聞くと市場は魅力的だが “騙されるのでは?”と心配する人も多いと思いますが?

陳氏:詐欺事件は中国に限らず日本でもあります。この国だから騙されるということではありません。

―北山:御社では、海外取引のトラブル解決・効率化というサービスを提供されていますが、ここにサービスを提供している企業は少なく、貴重な存在ではないでしょうか。中国ビジネスでのトラブル回避ポイントを教えて下さい

陳氏:中国では基本的に書面の契約書を優先します。したがって口約束ではなく合意事項を書面に落とすというのが大原則です。私は弁護士ではないので直接の示談交渉はしませんが、そのつど会社の担当者から状況をフィードバックしてもらい、後方から支援する参謀の役割を果たしています。

―北山:書面に落としていないと、中国ビジネスではどういう問題が起きるのでしょうか?
陳氏:合意事項が書面に書かれていないと自分にとって将来不利になる可能性が残ります。つまり、結果を事前に予測してリスク対策をすることが困難になるのです。
―北山:契約書は日本の契約書をそのまま使えばOKですか?
陳氏:中国内で契約書に法的な効果を持たせるには、中国の契約法に定められた条件を満たす必要があります。契約書の分量がどんなに多くても条件を満たさなければ法律効果はありません。条件の実務的な解釈はとても複雑なので、できるだけ早い段階で専門家に相談してください。コストがかかるかもしれませんが、将来の事業損失を事前に軽減できることも忘れないでください。もちろん、書面で全てを解決できるわけではありません。時には現地へ行って相手と直に話をする事も大切です。
―北山:日本企業の中国進出が成功するポイントは何でしょうか?
陳氏:何を持って成功の意味は別にして、中国ビジネスが順調な企業には共通点があります。それは中国ビジネスを行う目的が明確だということです。残念ながら、日本市場の不振も後押しして、中国に行けば儲かるとか、行けばなんとかなると漠然と考えている企業が多いのです。経験からいうと、漠然と考えている方の多くは、中国では騙されやすいとか、危険だという認識を持つ傾向にあります。
外国企業の日本での成功の難しさを考えれば、日本企業の海外での成功も難しいことだと理解できるでしょう。パートナーを探すのか、物を販売するのか、工場を建設するのか、中国に行く理由をしっかり考えてください。日本で新規事業を行う時のように、中・長期事業計画をしっかり描けるという事が大事です。
また、進出時よりも撤退にかかる時間と労力のほうがかなり大きいです。進出を計画する際に撤退の計画も同時に想定しておきましょう。
目的を定めたら、実際に中国へ行って自分の目で、肌で体感してください。成功の実感を持てたなら準備はできていると言えます。
―北山:御社では、トラブル解決以外にも、リサーチ&マーケティングから、契約・交渉、会計・労務、と4つの幅広い海外戦略のサービスを提供されていますね。外国企業の日本進出支援もされているとか。御社のサービスはどのようなコンセプトなのでしょうか?
陳氏:“ゆりかごから墓場まで”と言われるような、中国ビジネスの立案から撤退までの面倒を見るというのが私達の基本コンセプトです。弊社の強みは、大手コンサルティング会社にない軽いフットワークで迅速に対応できるところです。専任担当者を置くよりも手頃で高度なサービスを受けられることで好評を得ています。
―北山:そのように最初から最後までサービス提供しようと考えたのはなぜですか?
陳氏:父は自営業者だったので小さい頃から会社のさまざまな局面を見てきました。会社が長く続けば発展期だけでなく不振期や撤退危機もあります。その大事な局面で適切なアドバイスを受けることができれば失敗や苦労をかなり抑えることができるのです。トラブルがあった時だけ相談されるのではなく、普段から気軽に相談してもらえるワンストップサービスを提供する事が会社のためになると考えました。ご縁があった企業との長いお付き合いは、一緒に事業をすることと同じぐらい真剣勝負だと思っています。
―北山:まずは、リサーチから始まるのですね?
陳氏:はい。その国の事情、営業スキーム、商習慣、法律などいろいろな角度から検討して、まずは実現の可能性を探ります。仮にリサーチの結果が時期尚早と出た場合は、はっきりとストップをかけます。
安易に中国ビジネスを始めたものの、失敗して悪い印象だけを残すのは、その企業にとってはもちろん、中国ビジネスをこの先始める日本企業にとっても、中国にとっても良くありません。挑戦を思いとどまらせるのも私たちの重要な仕事だと思っています。
―北山:アメリカにもパートナー弁護士がいて、中国以外の国に関してのサービスも提供されているとか?
陳氏:私たちは中国以外にもアメリカ、オーストラリア、ドイツ、ドバイ等の各国での国際ビジネス支援も行っています。中国以外でも豊富なネットワークとアドバンテージを持ってビジネスをサポートさせて頂きます。
世界をまたいでビジネスをするというのは、飛行機に乗って楽に往復することではありません。荒波での航海と同じです。弊社のロゴである帆を張った船には、大海をお客様と一緒に越えたいという強い意志が込められています。お客様のビジネスを世界へ導く。それが私たちの誇りです。
―北山:日本の中小企業はこれから何を目指し、どのような武器を持つべきでしょうか?(HPに“私たちはもっと成長し本来の夢を実現しなければいけないのです。この競争を勝ち抜く武器をもってください。私たちが最後まで武器となり応援します。”とありましたが)
陳氏:今のビジネス環境は、数年たてば状況が一転してもおかしくない時代です。法律も実務も複雑になってきています。過去の経験だけで判断するのではなく、新しいことを受け入れられる柔軟なマインドが常に求められるでしょう。新しいことを受け入れるには、大きな勇気と決心がいります。悩んでいる時は物事を客観的に見られません。だからこそ、しがらみのない私たちに聞いてください。
―北山:最近の出没地は?
陳氏:最近は三味線関連のお店に良く行きますね。仕事ばかりでなくプライベートの充実も図ろうとの思いで津軽三味線を始めたからです。都心の住宅環境では音に気を使いますので、練習用の防音室が欲しいです(笑)。
―北山:陳さんの夢は何ですか?
陳氏:海外旅行が仕事になることが夢です。
―北山:なぜ神戸から東京に来たのですか?
陳氏:情報の発信地、ビジネスの最前線である東京で第一線の仕事をしたかったからです。

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陳 立浩
15歳で親元を離れアメリカのロサンゼルスへ留学。ダウンタウンの中心地でアパート暮らしをはじめる。語学学校へ通いながらアメリカ政府管轄下のJROTCプログラム(予備士官養成)の全寮制私立高校へ入学。
卒業時の階級は少佐。卒業生代表としてValedictorian(答辞) を述べる。夢を追いかけカリフォルニア州立大学に進学。日本、中国での仕事を経て国際ビジネスに特化した国際法務会計事務所を設立する。企業理念は設立から一貫して『異文化の痛みが分かる国際ビジネスの専門家』である。
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